Farchan Bulkin
“State and Society: Indonesian Politics Under the New Order, 1966-1978”
(国家と社会:新秩序体制下のインドネシア政治1966-1978)
PhD dissertation / University of Washington / 1983
Mochtar Mas’Oed
Ekonomi dan Struktur Politik Orde Baru 1966-71
(新秩序体制の経済と政治構造1966‐71)
Jakarta / LP3ES / 1989
Daniel Dhakidae
“The State, the Rise of Capital and the Fall of Political Journalism: Political Economy of the Indonesian News Industry”
(国家、資本の台頭、政治的ジャーナリズムの失墜:インドネシア報道産業の政治経済学)
PhD dissertation / Cornell University / 1991
本稿においては、スハルト体制期、インドネシア人によって行なわれたインドネシアの政治経済学的分析3冊を評論する。こうした研究は極めて少なく、このことはそれ自体、スハルトの新秩序体制下で資本主義と階級の分析が非合法のマルクス主義との連想のもとに、いかに周辺化されていたかを示すものでもある。これらの研究は全て、本来、アメリカの大学で博士論文として執筆されたものであるが、英語で出版されておらず、こうした研究の存在はインドネシア研究者以外にはよく知られていない。またこれらの研究のうち、インドネシア語に翻訳されているものは一冊のみである。
ファルハン・ブルキンの研究は、インドネシア国家の社会的基礎についての幅広い歴史研究であり、これを「周辺資本主義」の特徴そして「中産階級」の政治的運命との関連で分析したものである。ブルキンによれば、インドネシアにおける民主主義の不在は、主に、強力な「国民」経済の発展を可能にする強力な中産階級の不在にある、とされる。モフタル・マスウッドは新秩序体制の形成期に注目して、その政治構造と制度がどのように作られたのかを分析する。彼の分析においては、国際資本と軍人、知識人、イデオローグがインドネシアの資本主義的発展において利害の一致したことが注目される。ダニエル・ダキダエの研究は、一次資料の漁渉と長期にわたる現地調査を基にした、資本主義産業としてのインドネシア・ジャーナリズムの先駆的研究である。ダキダエは、産業資本主義の発展とニュース・メディアの商品化によってインドネシアにおけるジャーナリズムの性格が変化し、これが「政治的ジャーナリズム」の死をもたらしているとする。
ヴェディ・R・ハディズ 評
森下明子訳
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