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混迷するタイでの住民参加型森林管理

        

森林は地域社会が生活の糧として長く管理・利用してきた。しかし、中央政府が人々から森林管理を引き取ったことで、地域社会は住民参加の欠如によって苦難をしいられ、森林管理も成功することはなかった。本論では、森林管理への住民参加をめぐる混迷について分析する。

国家政策によって、長く木材コンセッション制と換金可能作物の大規模モノカルチャーが奨励されてきた。上から下への森林管理は国中で深刻な経済・環境荒廃を促した。1990年代まで、東北地域は過剰伐採やゴム、コーヒー、果樹プランテーションへの森林の改変を通して最もひどい荒廃にさらされた。これらのプログラムはまた、地方の少数民族の強制移住や他地域からの不法移住を引き起こした。

1997年に住民参加の重要性が認識されたが、森林政策は政府や私企業だけのものであり、住民参加の広がりはわずかでしかなかった。こうした失敗にはいくつかの理由がある。国家機構は森林管理を、影響力のあるビジネスマン向けの政策(厳格なルールとその履行)、および外交だとみなし、地域の現実を省みることなく中央集権的な政策決定を行った。さらに行政官たちは森林に依存する人々に否定的な態度をとってきた。すなわち、地域住民による森林利用が森林破壊の原因で、彼らは森林の運営方法を理解できないと考えた。政府の理解や委託者の信任が増したことでようやく、行政官たちは共同社会活動に参加したり参加型の政策やプログラム、住民への委託を検討し始めた。

森林経営者たちもまた、森林管理に関する枠組みや戦略、住民参加による方法論に対して無知であった。政府役人や地域住民が共に働く参加型学習が奨励されなければならない。最後に、住民が森林運営に参加する誘因が殆どなく、彼らがそれを行っても、適切な利益がないことを指摘しておきたい。実際、上院採択前のコミュニティ林法案ですら、貧しい高地住民を森林の敵だとみなしている。

コミュニティ林業は、森林管理だけではなく広範な変化や地方活性化の手段であり、収入の増加と地方の天然資源管理能力を強化するものである。さらに、意識改革や権利の促進、知識、技術を活用した人的資源の開発に寄与する。そうすることで、中央政府と地域社会との間で意思決定のバランスをはかることができるだろう。

Pearmsak Makarabhirom

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Kyoto Review of Southeast Asia. Issue 2 (October 2002). Disaster and Rehabilitation

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