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東南アジアの人身取引に関する最近の研究

          

The Migration of Thai Women to Germany: Causes, Living Conditions and Impacts for Thailand and Germany
(タイ女性のドイツ移住:理由、生活条件、タイとドイツへの影響)
Supang Chantavanich, Suteera Nittayananta, Prapairat Ratanaolan-Mix, Pataya Ruenkaew and Anchalee Khemkrut
Bangkok / Asian Research Center for Migration, Chulalongkorn University / 2001

Chinese Women in the Thai Sex Trade
(タイ風俗産業での女性)
Vorasakdi Mahatdhanobol. Translated by Aaron Stern, edited by Pornpimon Trichot
Bangkok / Chinese Studies Center, Asian Research Center for Migration, Institute of Asian Studies, Chulalongkorn University / 1998 

“Pitfalls and Problems in the Search for a Better Life: Thai Migrant Workers in Japan”
(よりよい生活を求めて~その問題と落とし穴:日本でのタイ移民労働者)
Phannee Chunjitkaruna
In Thai Migrant Workers in East and Southeast Asia 1996-1997
Supang Chantavanich, Andreas Germershausen, and Allan Beesey, editors
Bangkok / The Asian Research Center for Migration, Institute of Asian Studies, Chulalongkorn University / 2000

Thailand-Lao People’s Democratic Republic and Thailand-Myanmar Border Areas: Trafficking in Children into the Worst Forms of Child Labour. A Rapid Assessment
(タイ・ラオス国境地帯とタイ・ミャンマー国境地帯:子供の移動から劣悪な児童労働状態についての緊急報告)
Christina Wille
Geneva / International Labour Organization / 2001
Read online at: http://www.ilo.org/public/english/region/asro/bangkok/library/pub1.htm

Small Dreams Beyond Reach: The Lives of Migrant Children and Youth Along the Borders of China, Myanmar and Thailand
(手の届かないささやかな夢:中国・ミャンマー・タイ国境地帯での移民青少年の生活)
Therese M. Caouette
A Participatory Action Research Project of Save the Children (UK) and the UK Department for International Development / 2001
Read online at: http://www.savethechildren.org.uk/labour/small%20dreams%20beyond%20reach.pdf

“Return and Reintegration: Female Migrations from Yunnan to Thailand”
(帰国と再統合:雲南からタイへの女性の移動)
Allan Beesey
In Female Labour Migration in South-East Asia: Change and Continuity
Supang Chantavanich, Christina Wille, Kannika Angsuthanasombat, Maruja MB Asis, Allan Beesey, and Sukamdi, editors
Bangkok / Asian Research Center for Migration, Institute of Asian Studies, Chulalongkorn University / 2001

現代の東南アジアでの人身取引は、米軍がインドネシアに駐留していたことに関連して1960年代に始まる。75年に米軍がインドネシアから撤兵したあと、タイで性産業に従事し続ける女性もいれば、主にドイツやスカンジナヴィア諸国、香港、日本といった国で働き始めるものもいた。女性の移民や雇用についてはエージェントが「国際的な人身取引ネットワーク」を通じて手引きしてきた。女性移民について鍵となる問題は、彼女たちが自らの労働条件を事前に予想したり管理したり出来ないことにある。

東南アジアの人の取引や不法移民についての最近の研究が示しているのは取引の観念がいくぶん「変化」してきていることである。変化はリクルートや輸送の性質、取引の手順、目的地での搾取の三点に見出せる。

まずリクルートの仕方である。リクルートが兄弟や親友といった必ずしも人身取引に帰着するわけではない安全な人間によってなされていることが分かっている。暴力や誘拐、威圧によるものはあまり見られなくなっている。多くの場合、取引される人間は移民についての情報を求めてリクルーターに接近する。しかし雇用や労働条件について嘘の情報を利用することはより頻繁に確認されている。

次に取引の手順についてである。輸送業者は制限が多く複雑な移民規制の裏をかきたい移民者の助けとなるものである。より多くの移民が自発的に取引に関わるようになって、輸送については「人の密輸」という表現が適切になっている。移動の手段は国境を越えることや入管を飛び越えることに比べればあまり重要ではない。取引ネットワークは取引に際して国境の内側と外側を同様にサポートする。不正入手した旅券を使うことは一般的である。取引先としてよく使われるのは入管がいい加減でほとんど移民が上陸しないような場所である。

最後に搾取についてである。奴隷や債務者、性産業に従事するものはともかく、取引された人は非合法的に監禁され、書面を押収され、逮捕とゆすりにあい、強制的に残業させられ、その生活環境は貧しく、人が過密しすぎており、安全とはいいがたく、暴力に満ちたものである。奴隷化や肉体を傷つけることは見出されていない。結婚や家事労働のために少女や若い女性を取引することは確認されており、赤ん坊や子供の取引も確認されている。ますます多くの女性が自発的に自覚した上で性産業に就くために移民し、搾取されるようになっていることは注意しておく必要がある。しかし、確認された被害者は助力を受けることや故郷へ送還されることを望まない。

Supang Chantavanich 

Translated by Onimaru Takeshi.
Kyoto Review of Southeast Asia. Issue 4 (October 2003). Regional Economic Integration

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