「改革」を書く

Khoo Boo Teik

Amir Muhammad
“Perforated Sheets,” (穴あけ式投票用紙) 新聞コラム 
Kuala Lumpur / New Straits Times / 2 September 1998 – 3 February 1999

Sabri Zain
Face Off: A Malaysian Reformasi Diary (1998–99)
(対決―あるマレーシア人の改革日記―)
Singapore / Options Publications / 2000

Shahnon Ahmad
SHIT@Pukimak@PM (Novel Politik Yang Busuk Lagi Membusukkan)
(大便@Pukimak@首相―悪臭を放つ臭い政治小説―)
Kubang Krian, Kelantan, Malaysia / Pustaka Reka / 1999

1998年から99年にかけて、マレーシアのマハティール政権はアンワル・イブラヒム副首相解任をうけて起きたマレー人の文化反乱によって動揺した。国家統制下のマス・メディアはアンワル失墜の「理由」(不倫・同性愛といわれる)をセンセーショナルに報道し、そのため、これは、統治者が国民の面目を潰してはならないという「社会契約」に違反するものとされた。「改革」は政治的に表明されたばかりでなく文化運動としても表現され、マハティール体制に挑戦し、批判、嘲笑する出版物が現れた。「改革」は、これまで国家の検閲によって抑えつけられていた表現や議論を代弁した。本稿においては、反体制派の間で広く読まれているそうした新聞コラムや日記、小説を政治的に解釈する。

アミル・ムハマッドは才気溢れる若き独立した文芸・映画評論家である。彼の新聞コラムは、芸術と生活を結びつけるために、鋭く皮肉的な文芸批評を展開する。彼は、あからさまに党派的なメディア報道や全体主義的国家支配、「暴走する」愛国主義、17世紀の魔女狩りなどについて書く。アミルのコラムは混迷する体制をパロディ化し、その正当性をつつき穴を開けようするものである。しかしながら、その散文は上品であり、洗練されている。

サブリ・ザインは市井の人々の視点からものを書き、誰も主流メディアを信じていなかった時期に改革日記オンラインを通して「改革」に参加し、「既存のものに代わる」ニュースを広めた。彼の日記は、非武装で穏健な一般人反体制派と放水車を背後に警棒を振りまわす警察機動隊の対立を記録する。そこには、正義を求めて生まれた団結に新しい意味を付与した、社会や政治的態度の急激な変化が描かれている。

名誉国民シャフノン・アフマドの悪意ある寓話は、人間の腸内の話である。そこでは体内の汚物が、ある強力な大便の固まり「PM(首相)」率いる「大便戦線」を形成している。この「悪臭を放つ臭い政府」は、うなずいてばかりの「追随大便」たちが住む、おべっかだらけの政治組織を指導する。肛門挿入、精液、自慰という暴露に対して大衆が愛想をつかすなか、この名誉国民の排便は、面目を潰されたマレーシア人におそらく文化的なカタルシスをもたらしただろう。

クー・ブー・テック 評

森下明子

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Kyoto Review of Southeast Asia. Issue 1 (March 2002). Power and Politics

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